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局でひとり筆をとりて

普段は灰も被れないオタクよりの高校生が、硝子の靴ではなくキーボードと美しい文化を以て時には古典の世界を賞賛し、時には世間をぶった斬ります

清らかに徒然に ~大好きなお二方で執筆part4~

 

 

警告!!!

 

事前にお伝えしなければならないことがあります。

まず、この小説(?)は私がちょっと妄想を止めずに勢いに身を任せて書いている為、皆様のお目汚しとなる可能性があります。

よって、下のどちらかにあてはまる人以外は、私の別の記事で我慢願います・・・スイマセン。

①古典が好きな方

②夢小説などが平気・・・というか中二病気味の人

どちらかを満たす人はご覧下さい。

というかこれよりも清女と能書家編を見て下さい!

 

「なんであんたもやるのよ・・・」

「何か問題が」

「いや、ないけど・・・」

こいつの実力なら一人でもできそうなのに、なぜ私と共に手を挙げたのか・・・。

やはりこいつの考えていることはよく分からない。まあそこが面白いところでもあるんだけど。

「とにかく、シェイクスピアで何か台本を書かなきゃならない。どの作品がいいと思う?」

私は自分のロッカーからシェイクスピア全集をいくつか取り出した。

他の人は学校の教材を置き勉する為にロッカーを使うのだろうが、私のものには文学作品が一杯詰め込まれている。

「あんまり悲劇的でも見づらいし、やっぱり喜劇で楽観的なやつがいいのかしら」

ロミオとジュリエットは知名度が高いけど・・・やり辛いよな・・・」

「う、ロミジュリは・・・ちょっとね・・・」

接吻はカットできても、抱擁レベルは避けられないであろう。

あれは主人公たちの心が純真でも意外と妖艶なシーンが多い。

「あの有名な台詞もでっけえ独り言だしな・・・」

「ああロミオ!どうしてあなたはロミオなの?ってやつだね」

私は冗談めかして大げさに言ってみた。更に腕を差し出してみる。

ちょっとふざけ過ぎただろうか、きっと行成は困惑してしまったに違いない。

「・・・はっ?」

素っ頓狂な声を出したのは彼ではない、私だ。

行成が私の手に触れてこちらを凝視していたのだ。

放課後の誰もいない教室、男女の甘い世界を覗きかけた直後。何という気まずさ。

「・・・ゆきなりさん?」

「・・・っ!!!」

私がそっと尋ねると、行成は我に返ったように素早く手を離した。

先程まで触れていた指は一瞬で汗が吹き出たらしく、私の手は窓から入る風に一気に冷やされた。

「あー・・・」

「・・・申し訳ない、君の演技が迫真だったから」

「え、そんなに?」

「・・・」

行成はもうこの話題を続けたくないらしく、下を向いて黙り込んでしまった。

「・・・まあいいわ、で、何にする?」

「う、うん。因みに清花が好きなのはどれなの?」

それは決まっている。私は全集の一つを手にとった。

開き癖がついてしまっていて、すぐにページは見つかった。

「・・・『夏の夜の夢』?」

「そう!これが一番好きなんだ。結構内容がカオスだけど、明るくてコミカルで読み易いんじゃないかな」

私が行成に本を渡すと彼も読み始めた。

夏の夜の夢は、四人の男女が駆け落ち、またそれを追って森に入ったところ、妖精の悪戯で惚れ薬を塗られてしまう・・・というラブコメディーである。

妖精飛び交う森の幻想的な風景や、想い人がコロコロと変わる滑稽さが魅力の作品である。また、有名な結婚式のメロディーはこの劇で使われたのが始まりと言われている。

「まあ恋愛が目立つ・・・というかそれしかないんだけど。演劇でやるのとしてはこっちの方がいいかも」

私がそう言って次に指差したのは『じゃじゃ馬ならし』である。

我侭でお転婆で勝気・・・所謂じゃじゃ馬のお嬢様を結婚するに至って理想の女性に育てようとする物語である。

「うーん・・・やっぱりじゃじゃ馬かしら」

個人的にはとっても夏夢をやりたいのだが。

すると、行成が顔を上げて口を開いた。

「いや、夏の夜の夢をやろう」

「へっ?でも・・・」

「やろう」

こいつがこんなに自分の意見(私のでもある)を押すなんて、一体どうなっているんだ?まあ私としては嬉しいんだけど。

「よし!じゃあ決まりね。んで台本はどう書こうか」

「男性の台詞と女性の台詞があるから、それぞれを俺と清花で書くのがいいと思うけど」

確かに同じ性別のキャラクターなら心情も分かりやすそうだ。

いつもながら、行成の聡明さには本当に驚かされる。

・・・そんなこんなで来月には原作を読み込んで台詞を書いてくることになった。

「行成の文章楽しみだなあ」

「お互いに楽しみ、ですか」

「あれ、私に期待しててくれたの?」

「・・・へっくしょい」

くしゃみ棒読みやん。

 

~それから~

「おーい清花・・・って、紫苑?なんであいつの部屋の前にいんの?」

「えっと・・・お夕飯だから一緒に行こうと思ったんだけど、出てきてくれないの・・・」

「そーいえばどうしても読まなきゃいけない本があるとか言ってたな。相変わらず変な奴だわ。よし、勝手に開けちゃおーガチャっとな」

「なぜ開けた嗚呼あああああああああああああああああ!?」

「ぐおっ」

「ぜっっっっったい開けんな!」

「・・・こわ」

「なんかすっごく張り切ってるの。何かあったのかな?」

「うーん・・・想われるって幸せだってことかね」

「?」