局でひとり筆をとりて

普段は灰も被れないオタクよりの高校生が、硝子の靴ではなくキーボードと美しい文化を以て時には古典の世界を賞賛し、時には世間をぶった斬ります

清らかに徒然に ~ちょっと待てやおらどういう意味じゃ(小説付き)~

…わからん。
文芸部の連中は言う、『姉貴(俺)の文体は色気がある』と。

なぜ私が姉貴と呼ばれるのかはまあ以前の記事を読んでもらうとして←

文の色気って何じゃいという話。


そりゃ私は人の感情を書くのが好きですから、昔から恋愛だのあれこれ書きました(今も)、CP作成すると確実に1回はR18の場面が発生します。恋愛脳だのエロ脳だの言われるのは慣れた(慣れるな)。
しかし、文体に色気があるというのはどうも腑に落ちないし度し難い。

色気と言うからには、きっと艶やかで美しいもののことだろう。生々しいのとは違う、私はそういうのは嫌いだ。

耽美派自然主義は違うと言えばわかるだろうが(わかんねえよ)、ただ言いたいのは、私が目指すのは登場人物の強い感情のぶつかり合いであること。有川先生の恋愛小説が情熱的で、はっちゃけてるとこはっちゃけてるのに色んな層に読まれるのはそういうことだと思う。

それと、風流は大事にしている(つもり)。
目の前の色、温度、香り…全てを出来るだけ柔らかい言葉で(こっちは)生々しく書いている(つもり)←先程からつもりが多い。自信がないのだこいつは
そこは場面の展開や心情の変化を表現する重要なものだと思う。

そう、私のモットーは「人間の醜さと美しさを曝け出せ」「風流はどこまでも探求すべし」このふたつのみである!
どうやったら色気が出るんでしょうか?これでも私、彼氏いない歴=年齢の浪人生(予定)なんですけど。

…誰かが分析してくださると信じて(怠惰)、昔「冷たい手」をお題に書いた文を載せようと思います。
これで愚弟は背中が痒くなったらしいが知るかそんなもん(ぶん投げ)
制作時間は一時間程度なので言葉の稚拙さはお察しということで。



*冷たい手

僕の手は冷たい。いや、別に自覚はないしどうでもいいんだけど。
だが今は残暑が続く季節で、自分の手は重宝する。常に冷えピタを持ち歩いているようなものだ。
「…だから、偶には恩返ししようと思ったんだよ」
「何が恩返しよ」
一緒に歩いていた少女はムスッと顔をしかめた。
この子とは幼稚園の頃からの付き合いだ。幼少期から周りに比べて女々しかった僕は、彼女とよく遊んでいた。
あやとりしたり、かぞくごっこでどっちが姉か兄かと喧嘩していたのは今では少し恥ずかしい思い出だ。
ところで彼女の手は温かい。
僕の短い人生の中で感じた誰のものよりも温かく、彼女の心をそのまま表したような手。
冬の寒い日はよく手を握ってもらったり、摩ってもらったりしていた。あんたアイス好きだからって食いすぎてんじゃないの?と悪態をつきながら、いつも優しく触れてくれた。
大事な、大好きな僕の親友。
そしてその親友は、ある日を境に僕の手を握らなくなった。
「今暑いじゃん、君の手はどうせまた天然カイロになってるんでしょ。冷やしてやる」
「失敬な…とにかく文字通りあんたの手は借りないわよ、天然保冷剤」
何かを踏み間違えたのだろうか、それとも彼女を傷つけるようなことをしたのだろうか。
冷たい僕に、温かい彼女はわからない。

あいつは何か誤解しているらしい。
何も彼は悪いことなんてしてない、これは私の問題だ。
小さい頃から私の遊びに付き合ってくれた彼の手はいつも冷たい。きっと内側が温かすぎて、熱が身体の端まで届かないんだ。彼以上に優しい人を私は知らないから。
夏の暑い日は勝手にあいつの手を頬にあてていた。苦笑して許されるのをいいことに、しょっちゅうやっていた。
いたこともないけれど、恋人よりも大切な親友。
ある日を境に私はあいつに触れなくなった。
彼の手は段々と強く関節が張った。ふわふわとした心地もどこかへと消えた。男の人になったんだと初めて思った。
思春期の私には好きな人くらいいる。今までだってそうだ。それでも彼だけは別枠の存在で、何を一緒にしても躊躇がなかった。
それでも、もう駄目だ。
硬く冷たい手に触れれば、私の手のひらは少しずつ冷やされていく。熱が終わりなく吸い込まれていく。
……彼の温度に染まる。
それに気が付き侵されていくような気持ちがして、急に怖くなった。今まで壊さずに保ち続けたものに泥を塗ると思った。
「…あんたも大人になりなさいよ」
「はぁ?」
何も踏み間違えたくなくて、彼を傷つけたくなくて。
温かい彼と、冷たい私。それだけにはなってはならない。